Petite Adventure Filmsプチ・アドベンチャー・フィルムズ

復刻版公開に寄せて

映画『さようならUR』の主人公でもある、「高幡台団地73号棟に住み続けたい住民の会」。
2013年に立ち退き裁判をたたかっていた当時の「住民の会」ホームページが、この度復刻版となって登場しました!
今回新たに、裁判後の情報も追加しました。UR団地の削減方針は、現在も維持されたままです。高幡台団地73号棟のたたかいが、全国で建て替え・取り壊し問題に直面する方々の取り組みに生かされることを願います。

2020年10月
プチ・アドベンチャー・フィルムズ
早川由美子

きいろいはたに
ねがいをこめて

高幡台団地73号棟に
住み続けたい住民の会
の記録

URは言います人は、ふれあって育つ。UR賃貸住宅

住民はURに言いますつながりを壊さないで
大家(UR)さん!

URは言いますふるさとになる住宅

住民はURに言います終の棲家と
思っていたのに…

URは言いますやさしさにふれる住宅

住民はURに言います大家(UR)さんから
立ち退き訴訟!?

住民からのご挨拶

※2013年当時の挨拶

私たちのホームページにおいでいただきありがとうございます。

2008年5月1日、読売新聞がスクープして社会問題となった、URの耐震不足住棟の取り壊し問題。この報道で名前が公表された団地は、関東地方では、私たち高幡台団地73号棟のほか、千葉・幸町団地と埼玉・武里団地でした。すでにこの2団地の該当住棟は取り壊されて、更地となってしまいましたが、私たちの73号棟はしっかりと建っています。

あれから4年半。私たちは悩み、苦しみ、そして多くの皆様の協力を得ながらいろいろなことを学び、行動してきました。早川由美子監督のドキュメンタリー映画「さようならUR」が詳しく伝えています。

「住み続けたい」と裁判をたたかっています!

UR都市機構は2011年1月、残っている7戸の住民に対し、住宅の明け渡しを求め裁判に訴えてきました。「73号棟は耐震強度が不足しており、多額の費用がかかる耐震補強をしても住宅環境が悪くなり、商品価値がなくなる。よって建物を除却することにした。この処置は賃貸契約の更新拒絶の正当事由となるので、ただちに建物を明け渡せ。契約終了後は不当占拠にあたるから、1.5倍の損害金を支払え」というのです。

URは、私たちに「丁寧な説明」をし、「真摯に対応」してきたといいます。しかし私たちは73号棟の耐震補強方法は、URが説明する方法しかないのか、疑問に感じました。73号棟の耐震補強を検討するための基礎資料である、73号棟の構造設計図を公開するよう、情報開示請求をしました。しかし、開示された構造図は全66ページすべて黒塗りでした。

耐震性不足の建物は全国に存在。裁判の行方が注目されます!

一昨年の東日本大震災以来、建物の耐震補強の必要性が高まっています。しかし耐震補強が不足している賃貸住宅は国内にたくさん存在しています。この裁判では、UR賃貸住宅の耐震強度不足が、賃貸契約の更新拒絶の「正当事由」となるのかが問われています。耐震強度不足が、更新拒絶の正当事由となるかが主な争点となった裁判は、今回が初めてといいます。ですから今、私たちの裁判は法律家を始め、住宅問題に心を寄せる人たちからも注目されています。

このホームページでは、73号棟問題の経緯と裁判の経過を、これからも伝えていきます。高幡台団地73号棟のベランダには、住み続けたいという願いをこめて、私たちの黄色い旗が今日もはためいています。ご意見、ご感想をお寄せくださいますよう、お願いいたします。

2013年1月
高幡台団地73号棟に住み続けたい住民の会
住民一同

URって何?

高度経済成長真っ只中の1955年、 主に大都市圏の深刻な住宅不足を解消するため、 国の住宅政策の一環として設立された、日本住宅公団が始まり。

1960年~70年代にかけ、全国各地で大量の団地を建設すると共に、 ニュータウンの計画や建設、そして都市再開発事業にも進出した。

日本住宅公団は、時代や政治の流れと共にその役割を変貌させつつ、 名称も1981年には住宅・都市整備公団、 1999年には都市基盤整備公団、そして2004年に都市再生機構(UR)となり現在に至る。

URは、全国で約76万の住戸を抱える、”日本最大の大家”。 しかし、行政改革の煽りを受け、 現在は民営化も視野に入れた組織の見直しが検討されている。 14兆円という巨額の負債と、住宅不足は解消しURの目的は終えたというのが、 見直しの主な理由だ。

URの団地に関しては、削減の方針が打ち出され、 10年間(2018年まで)で既存住宅8万戸を削減する「UR賃貸住宅再生・再編計画」が進行中。

高幡台団地73号棟の取り壊しは、URの民営化、団地の削減が打ち出されたのと、時を同じくして発表された。 それ以前は、耐震補強をして使い続けると73号棟住民には周知していたのだが、一転して取り壊しに転じた。

73号棟の取り壊しについて、URは耐震性不足のためと主張するが、 その背景にはURの民営化、そして団地の削減方針があるのでは?と指摘する専門家も多い。

  • 1955年

    日本住宅公団

    大都市圏の深刻な住宅不足解消のために設立

  • 1981年

    住宅・都市整備公団

    全国各地に団地建設
    ニュータウンの計画や建設
    都市再開発事業

  • 1991年

    都市基盤整備公団

    高幡台団地73号棟
    耐震改修を検討

  • 2004年

    都市再生機構

    民営化へ…?
    UR賃貸住宅再生・再編計画
    既存住宅8万戸を削減
    高幡台団地73号棟
    取り壊し決定

UR vs 住民の会、その記録

※2020年10月現在

  • 高幡台団地73号棟取り壊しが決まるまで

    1. 1996
        1. UR
          阪神淡路大震災を受け、UR技術検討委員会で住宅耐震化協議を開始

    2. 2003
        1. UR
          都市基盤整備公団東京支社(URの前身)で、73号棟の耐震改修を検討。検討案では、工法の違うA,B,Cの3案が検討されていた。

    3. 2005
    4. 2006
        1. UR
          URが73号棟住民に、73号棟改修のお知らせを配布。73号棟は「平成21年度までに耐震改修等実施してまいります」と約束

    5. 2007
    6. 2008
  • 73号棟取り壊し公表後の動き

    1. 2008
        1. 7日

          UR
          UR、73号棟住民に73号棟除却決定と説明会開催を伝えるお知らせ配布

        2. 29日

          UR
          UR、七生公会堂で73号棟住民への説明会を実施。当時の居住者204世帯中168世帯参加。説明会は紛糾し、URは住民の要求に応えて4月18日・19日に追加説明会を開催

        1. 25日

          住民の会
          「73号棟に住み続けたい住民の会」(以下、住民の会)発足。住民の会、URに対する署名「73号棟除却計画の撤回と速やかな耐震対策の実施を要望します」集めを開始

    2. 2009
        1. 6日

          住民の会
          住民の会、UR東日本支社と第1回「話し合い」。テーマは「なぜ北側から改修できないか」。URは73号棟設計図の一部を示したが、説明後にすべて回収。73号棟の耐震改修工事について、「居つき工事が前提」等の6項目の条件が初めて示される

        2. 8日

          住民の会
          住民の会、「73号棟を残してください」と題した手記集を、日野市議会全議員に手渡し、請願採択を求める

        1. 17日

          UR
          73号棟住民のうち5月起算の契約者に、URから「更新拒絶」の内容証明郵便が送付される。以後、契約期日の6か月前に順次内容証明到着(6か月前に送達することが法律で定められている)

    3. 2010

        1. 住民の会
          住民の会、73号棟のベランダに黄色い旗を掲げる。団地内の支援者宅にも掲示

        1. 6日

          UR
          7月起算の73号棟住民2人に、URより契約終了確認と住宅返還催告が送付される。以後5人に順次送付される

        2. 11日

          住民の会
          73号棟住民、東京法務局に家賃供託を開始。以後家賃の自動引き落としを拒否された住民は、毎月の家賃供託をつづける

  • 裁判が始まってから

    1. 2011
        1. 7日

          住民の会
          第1回裁判、住民側の答弁書提出。URの訴状に対し全面的に争うことを表明

        2. 11日

          UR
          東日本大震災。73号棟では、窓ガラスが割れたり、エキスパンションジョイントのカバーが破損するなどの被害があったが、建物本体に影響を与える被害はなかった

        3. 21日

          住民の会
          「住まいの貧困に取り組むネットワーク」2周年の集いにて、映画『さようならUR』(早川由美子監督)完成上映

        4. 22日

          住民の会
          住民の会ニュース17

    2. 2012
        1. 1日

          住民の会
          支援団体ら、七生公会堂にて「高幡台団地73号棟裁判と連帯するつどい」

        2. 13日

          住民の会
          第12回裁判、証人尋問。午前10時から夕方までの集中証拠調べ 。UR側2人、住民側から建築家・摺木勉と住民2人(村田栄法、畦地笙子)が証言

        1. 15日

          UR
          裁判所による和解意向聴取。URからは、当初住民に示された移転条件そのままの和解案が示される

        1. 15日

          住民の会
          住民側、裁判所へ10月15日の和解条件では納得できないと連絡。これを受け、裁判所は和解案の修正を求める

        2. 30日

          住民の会
          住民側、UR側とも裁判所へ最終準備書面提出。住民側はUR側の最終準備書面に反論する第10準備書面提出(12月12日)

    3. 2013
        1. 24日

          住民の会
          住民の会ニュース24

        2. 28日

          住民の会
          東京地裁立川支部にて、三村晶子裁判長より判決の言い渡し。UR側の主張を全面的に認め、住民側の主張を一切認めない、不当判決だった

    4. 2014
    5. 2015

ドキュメント・73号棟解体

裁判が和解で終了した後、住民たちは転居を余儀なくされ、やがて建物の解体作業が始まりました。元73号棟住民のM.Kさんが、取り壊し直前~解体までの様子を克明に記録し提供してくださいましたので、ここにご紹介します。

カレンダーの月を選択して、写真を見てください。

撮影・提供:元73号棟住民 M.Kさん

高畑台団地の今

高幡台団地地区・地区まちづくり
計画について

73号棟問題が表面化した2011年から、高幡台団地自治会、管理組合(分譲)、UR、日野市の4者による、73号棟跡地問題を中心とした高幡台団地地区の再活用について検討が重ねられてきました。

最初4者勉強会として発足した協議体は、その後準備会を経て2016年、地区まちづくり協議会と改組、2017年12月に日野市まちづくり条例に基づき、「高幡台団地地区 地区まちづくり計画」が作成されました。73号棟問題は、その跡地利用を含め、地域住民(自治会、管理組合)を中心としたURと自治体を巻き込んだ協議体の結成につながり、地域活性化の取り組みの中に生かされようとしています。

まちづくり計画案.pdf

2016年7月

2016年12月

2017年3月

2017年7月

2018年2月

2018年6月

2019年7月

2020年1月

2020年8月

素敵な住民のご紹介

私たちについて
もっと詳しく知りたい方は…

さようならUR

この高幡台団地73号棟問題、そして私たちの活動は、ドキュメンタリー映画『さようならUR』(監督:早川由美子)に詳しく描かれています。

映画は、これまでに全国各地で上映され、山形国際ドキュメンタリー映画祭2011では、スカパー!IDEHA賞を受賞しました。中国、韓国でも上映され、国境を越えた共感が寄せられました。映画本編に、3時間の特典映像を加えたDVDが発売中です。ぜひご覧ください!

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