ブライアンと仲間たち パーラメント・スクエアSW1
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日本ジャーナリスト会議
黒田清JCJ新人賞受賞作品
王室でも、サッカーでもない、“新たなイギリス”ここに誕生!
- ドキュメンタリー
- イギリス・日本
- 2009
- 97分
- 監督
- 早川由美子
- 撮影・編集
- 早川由美子、Paul Wright
- 音楽
- YANEKA、広島大学附属中・高等学校管弦楽班、Paul Wright
推薦の言葉
「殺すな」。ブライアンのあまりにもまっとうな抗議の前で、権力はマヌケさを晒している。映画を見終わって、パーラメント・スクエアに駆け付けたくなった。
予告編
あらすじ
「ビッグ・ベン」の愛称で知られる、イギリスはロンドンの国会議事堂。ここはロンドンを訪れる観光客にとって、外すことの出来ない観光名所。しかし、この建物の向かい側に位置する広場、パーラメント・スクエアには、国会議員たちにとって“eyesore”(目障り)な存在がある。なんと、ここにテントを張って生活をしながら、8年以上家にも帰らず、1日も休まず、英米政府のテロ撲滅戦争に抗議している男性がいるのだ!
Brian Haw(ブライアン・ホウ、1949年生まれのイギリス人)は、2001年6月2日にパーラメント・スクエアで抗議活動を始めた。彼は、このロンドンのど真ん中で、「イラクの子供たちを殺すな!」、「嘘つきブレア!」などと書かれた大きなプラカードや横断幕を堂々と掲げ、年中無休のデモを展開している。
ブライアンがこの場所で抗議活動を始めて以降、世界中から彼を支持する人々が訪れ、平和を願うメッセージやプラカードを彼に託していった。それらは日々増殖し、やがてパーラメント・スクエアの横幅40mまで広がる、大きなディスプレイとなった。さらに、彼と共にテントを張って寝泊りをしながら抗議活動をするサポーターたちも現れ、現在、国会の目の前には常に10前後のテントが張られている状態だ。
これまでに、イギリス議会は何度もブライアンをパーラメント・スクエアから追い出そうと試みてきた。議会は2005年にSOCPA法(重大組織犯罪及び警察法)を制定。この法律は「パーラメント・スクエアの半径1km圏内で抗議活動を行う場合には、事前に警察の許可が必要」という内容のもので、ブライアンの排除を目的として制定された法律といわれている。その法律の下、彼の40mのディスプレイは警察によって奪われ、抗議活動には様々な条件が課せられることとなった。
サポーターの人数の上限、スピーカーマイクの使用時間の制限など、一方的な条件を加えられ、その条件違反を理由に何十回も逮捕されながらも、彼らは独特のユーモアとアイデアで対抗しながら、今日まで抗議活動を続けている。
彼らの存在は社会的にも注目を集め、ブライアンは2007年に、イギリスのテレビ局・チャンネル4の視聴者投票によって、「政治的に最もインスパイアされる人物」に選ばれた。さらに、奪われてしまった40mディスプレイが、アーティストのMark Wallinger(マーク・ウォリンジャー)によって再現され、イギリス現代美術界最高の賞・ターナー賞を受賞するなど、彼らの活動は今や社会現象にまでなっている。
この映画は、ブライアンと彼のサポーターたちを、時には共にテントで生活し、警察と衝突する彼らの間に分け入って撮影しながら、約1年半に渡って追い続けたドキュメンタリーである。これまでの生活を捨て、彼と共にここで生活することを選んだシングルマザー、半世紀以上反戦活動を続けるおじいさん、エキセントリックな人形アーティスト、元労働党内閣の政治家などのインタビューを通して、王室でもサッカーでもない、“新たなイギリス”がここに描かれる。
※ 2011年6月18日、肺がんを患っていたブライアン・ホウさんは永眠されました。62才という若さでした。ご冥福をお祈りいたします。
ギャラリー
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制作クレジット(敬称略)
映画祭上映履歴
国内
- アムネスティ映画祭(2015年・東京)
- 市民メディア全国交流集会(2010年・東京)
- 三鷹いのちと平和映画祭(2010年・東京)
- あいち平和映画祭(2010年・名古屋)
- TAMA映画フォーラム(2009年・東京)
- 京大11月祭・国際すわりこみ映画祭(2009年・京都)
- わくわく・ならしの映画祭(2009年・習志野)
- 岡山映画祭(2009年・岡山)
- Shintoku空想の森映画祭(2009年・北海道新得)
- 長岡アジア映画祭(2009年・長岡)
- あいち国際女性映画祭(2009年・名古屋)
- シューレ大学国際映像祭(2009年・東京)
- 豊中平和映画祭(2009年・豊中)
- 反戦・反抗ドキュメンタリ映像祭 in OKINAWA(2009年・沖縄)
- 福岡アジア映画祭(2009年・福岡)
- 安房平和映画祭(2009年・千葉)
海外
- 国際1001ドキュメンタリー映画祭(2009年・トルコ)
- Portobello Film Festival(2009年・イギリス)
関連情報(敬称略)
- Brian Haw
Wikipediaのブライアンに関するページ。(英語のみ) - Peace Strike
マリアが主宰する、パーラメント・スクエアで行われているキャンペーン。(英語のみ) - rikki (realmedia.press)
ジャーナリスト、映像作家。イギリスのSOCPA法については、彼の映画「SOCPA the Movie」が詳しい。ロンドンを拠点に活躍する気鋭のジャーナリスト。この映画に写真を提供して頂きました。(英語のみ) - Terence Bunch
写真家。この映画に写真を提供して頂きました。(英語のみ) - YANEKA
世界を股にかけて活動するミュージシャン。この映画に楽曲を提供して頂きました。 - 広島大学附属中・高等学校管弦楽班
なんと100人の若き素晴らしきオーケストラ! この映画に楽曲を提供して頂きました。 - 森住卓
世界の紛争地域、核汚染地域を精力的に取材する写真家。ブライアンのディスプレイに飾られているイラクの子供たちの写真は、彼の「イラク・湾岸戦争の子供たち」からの写真。 - The Global Women's Strike
ブライアンたちを長年支える女性団体。グリーナムコモンのキャンプを体験したメンバーも複数いる、頼もしい女性たち。(英語のみ) - Harry Loco
通称「オランダのボブ・ディラン」。ブライアンに捧げたCD、"Brian of Westminster"発売中。パーラメント・スクエアでも時々ライブを行う。(英語、オランダ語のみ)