2024年4月26日、水戸地方裁判所にて「大津漁協不当解雇事件」の判決がありました。永山孝生さんと鈴木基永さんが原告となっているこの事件は、「大津漁協の永山さん・鈴木さんを支える会」のホームページに詳細があるほか、以下の、裁判長に宛てた公正な判決を求める署名にも、概要が記されています。
署名用紙の文面:
私はこの問題について、不勉強ながらつい昨年まで知りませんでした。2013年に制作したドキュメンタリー映画『木田さんと原発、そして日本』の主人公である木田節子さんと、昨年久しぶりに東京でお会いした際、「北茨城でこんな問題が起こっている、原告の応援をしている」とお聞きして、初めて知ったのでした。
福島第一原発事故の補助金が不正に請求されていたというのは問題ですし、いち消費者の立場からは、魚介類の放射線量数値の改ざんが行われていたというのもショックです。最近では「アサリの産地偽装」問題が記憶に新しいですが、産地や放射線数値というのは外見からは分からないので、消費者は業者の表示・数値を信用するしかありません。しかし、その表示や数値が改ざんされていたとしたら、それはもう全ての前提が崩れてしまいます(> <)
大津漁協で働いていた原告は、これらの不正を知り、健全な職場を取り戻そうと告発したところ、逆に漁協の幹部からパワハラを受け、解雇処分が行われてしまいました。この不当解雇を撤回させるため、原告のお二人は2年間裁判でたたかってきました。その判決が4月26日にあると知り、ぜひ撮影させてほしいと、「大津漁協の永山さん・鈴木さんを支える会」のホームページに連絡をしたのでした。
私は原告の永山さん・鈴木さんとは面識がありませんでしたが、ホームページの裁判資料の中に、見覚えのある名前を見つけました。
「訴訟代理人 弁護士 飯田美弥子」
もしかして、日野市のUR高幡台団地の立ち退き訴訟で代理人をされた、飯田美弥子弁護士…???
私は2011年に、この団地の問題を取り上げたドキュメンタリー『さようならUR』を制作し、その中で飯田美弥子弁護士にもインタビューをさせてもらっていました。
『さようならUR』本編よりキャプチャ
私が取材した当時は、飯田弁護士は東京で弁護士をされていましたが、元々茨城の出身だそうで、その後2019年に独立し、故郷の日立市で「うぶすな法律事務所」を開設されたそうです。
なんという偶然の巡り合わせ!!と、嬉しく思いました。
そして迎えた判決の日、4月26日。夫ともに、車で水戸に向かいました。車は便利ですが、道路状況によっては数時間も違いが出てしまうので、「遅刻するよりは、早すぎる方が良い」と考え、早朝4時に出発。
3時間ぐらいかかると思っていたら、2時間もせず水戸に到着…! まだ朝の6時です! 裁判は14時から…(^^;)
水戸の観光地をネットで調べ、6時に開門という「偕楽園」へ。ここは「日本三名園」のひとつなのだそうです。
もちろん、観光客らしき人はゼロ。
この真っ赤なかたまりは何?と思ったら、巨大なつつじでした。
偕楽園を隅々まで歩き終えても、まだ8時前…。どうしたものかと思っていたところ、途中で連絡を取り合った木田さんが、ご自宅に呼んでくださいました。
木田さんと、愛犬ジャジャ丸くん。
11時ごろ木田さんの家を出て、裁判所の近くでお昼ご飯を食べました。12時半ごろ、原告&支援者の方々が集まっている茨城県立図書館前へ。
「大津漁協は解雇撤回!&労働者イジメを止めろ!」と書かれた横断幕。この横断幕を持って、裁判所の前まで行進しました。
東京から取材に駆け付けた、おしどりマコ&ケンさん。高速バスが事故で渋滞して、到着が遅くなってしまったとか。早すぎたけど、やっぱり4時に出発して良かった~(^^)
13:10から傍聴券の配布があり、無事抽選に当たって傍聴席へ。判決は、裁判長が着席するなり、原告全面勝訴の判決文を棒読み。傍聴席から、「やったー!」と歓声が上がりました。集会でどなたかも言っていましたが、社会運動に関わっていて、なかなか全面勝訴の局面に立ち会えることは少ないです。それだけに、喜びもひとしお!!!
裁判所前にて、いわゆる「旗出し」の儀(^^)
裁判の後は、裁判所近くの「水戸生涯学習センター」にて、報告集会がありました。
集会の様子は、以下のYouTubeでご覧いただけます:
弁護士さんが判決文を読み込む間、原告のお二人や支援者の方々の発言がありました。
原告の一人、永山孝生さん。
傍聴に駆け付けた、福島県浪江町の「希望の牧場」吉沢正巳さん。
取材で来ていたおしどりマコさん・ケンさんでしたが、急きょ挨拶を求められたら、挨拶代わりのトークが即興のコントになっていました。さすが!!
準備が整い、飯田美弥子弁護士、丸山幸司弁護士の判決文解説が始まりました。
飯田美弥子弁護士。
丸山幸司弁護士。プロジェクターで投影されているのは、判決文です。
会場の様子。
もうひとりの原告、鈴木基永さん。
長いたたかいを続けてきたお二人に花束が贈呈されました。
原告の全面勝訴ということで、笑顔あふれる報告集会でしたが、飯田弁護士の見立てでは、おそらく被告側は控訴してくるだろうとのことでした。また、永山さんとしては、なんとしても職場復帰して、公益通報をしたい(公益通報をするには、職員の立場に復帰していないとできない)、それによって漁協を健全な組織にしたいと話していました。これからもたたかいは続くので、ぜひ注目してほしいと。
ちなみに地元では、5月6日(月・祝)13:30~、
報告集会の後は、車を取りに再び木田さんのご自宅へ伺いました。ご自宅では、お仕事から戻られたお連れあいさんに初めてお会いしました。『木田さんと原発…』をご覧になった方はご存知だと思いますが、この映画にはお連れあいさんの話(主に夫婦喧嘩のエピソード💦)がたくさん出てくるのです。
初めてお会いして、「映画をご覧になっていかがでしたか?」と恐る恐る聞いてみたところ、「いろんな話が出ていましたね」とだけ言われました。果たして、本当のところはどうだったのでしょうか…?!
夕食は、木田さんおススメのお店へ。「Groovy」というパスタ専門店です。
テレビでも良く紹介されるお店だそうで、店内はほぼ満席でした。もちろん、美味しかったです!
その後は、水戸市内のスーパー銭湯へ。
22時に水戸を出発し、帰りも道路はガラガラで、なんと行きよりも早い1時間40分で自宅に到着してしまいました。
以上、大津漁協不当解雇事件・水戸地裁判決&報告集会のレポートでした!