この講座は、最終回までに各自が課題作品を仕上げ、完成披露上映会で上映することになっています。
コロナ禍前までは、課題作品の取材先ごとに3~5人ごとでグループを作り、そのグループで1作品を作る、としていました。しかし、コロナ禍の2020年9月から開催した講座では、1台のパソコンを複数人で囲んで長時間編集作業をするのは、感染対策として良くないかもしれないと考え、この時から「各自で」作品を仕上げる(=ひとり1作品)方式に変更しました。
元々は感染対策として始めた、ひとり1作品でしたが、実際にやってみると、様々なメリットがあることが分かりました。グループで作品を作っていた時は、どうしても、パソコン操作が得意な人に、編集作業をお任せしてしまう傾向がありました。自分でもパソコンを触らなければ、編集は上達しませんが、なかなか公平にパソコンを触る機会は持てなかったのです。一方、ひとり1作品ならば、パソコンが苦手でも、自分で編集をするしかありませんよね。
また、グループで作る作品は、様々な人が意見を出し合う結果、最大公約数的な作品(無難な作品とも言えます)にまとまることが多かったのですが、個人で作る作品は、作り手の個性や主張があふれ出ていて、たとえ粗削りでも作品が輝いていたのです。
以上の経緯から、今回も(たぶんこれからも)、「ひとり1作品」で作品を仕上げることにしました。
ところで、この講座は隔週土曜日各回3時間×8回でしたが、講座の時間以外にも、いくつかの企画を用意していました。
そのうちのひとつが「個別相談」です。第6回目と第7回目の講座の開始前に、事前予約制でひとり20分程度の個別相談を受け付けました。相談内容は、例えば、ビデオカメラやパソコンの購入相談、これまでに作った作品への講評、これから作りたい映像の企画相談など、映像制作にまつわること全般です。
シビルの空き教室を使って個別相談を行いました。
当時のX投稿です:
2023年7月25日
先日の映像ワークショップでは、講座の前に個別相談の時間がありました。工芸アーティストとして活動されている方は、受講目的が、ご自分の作品をインスタで映像で紹介したいということなので、編集ソフトに関して、高度な使い方の質問を多くされました。今回のソフトは無料とはいえ高機能なので、全部出来ます✨
【承前】また別の方は、絵コンテを使ってご自分の企画を説明・相談されました。無印良品で販売されている四コマ漫画用のノートが、絵コンテを描くのに便利なのだそうです😮 写真を撮らせていただきました。それにしても、絵コンテ中の私の似顔絵が…😅
【承前】個別相談の目安時間はお一人20分としていましたが、案の定(?)皆さん30分ぐらいかかりました。講座の開始前に、ごはんを買いに行く時間が無くなってしまったのですが、相談された方がお昼ごはんを差し入れしてくれました。ありがたかったです!
【承前】講座終了後は、ノートパソコンの購入を検討されている方とともに、立川のビックカメラへ。無事、予算の範囲内で、映像編集に申し分ないパソコンを購入出来ました😀 「想定よりずいぶん安く買えた」とのことで、お寿司をご馳走になってしまいました😋
2023年8月6日
昨日の映像ワークショップも、開始前の時間帯で個別相談を受けました。受講動機が「自分の描いた絵を映像にしたい」という方は、これまでに作った作品を持ってきてくれました。とても素敵な雰囲気のある絵! ぴったりの音楽と合わせたら、きっと素敵な映像になるだろうなぁ〜😀
そして、もうひとつの企画が「立教大学共生社会研究センター」の訪問です。
立教大学共生社会研究センターとは(センターのホームページより引用):
国内外における多様な市民の社会活動に関する資料を収集・公開し、それに基づく実証研究を通じて持続可能な共生社会の実現に資することを目的として、2010年4月に設立されました。所蔵資料を社会に開くとともに、大学や学問領域の境界を超えた研究活動により、草の根の経験が生み出す膨大な「知」を市民社会形成に活かすための拠点を目指します。
#1に、この映像ワークショップの根底にある目的として、「公には記録されることの少ない、市民の声を記録し伝えていくことの重要性を知る」と書きました。前回(2020年)に引き続き、共生社会研究センターを訪問し、国内外の膨大な市民運動の記録が保管されている様子を見学させていただけるよう、センターのアーキビスト・平野泉さんにお願いしました。
以下は、センターを訪問した際のX投稿です:
2023年7月23日
先日は、映像ワークショップの「課外授業」として、立教大学の共生社会研究センターを訪問し、アーキビストの平野泉さんに、映像制作にも役立つワークショップをしていただきました。大量の資料を収集し、保管し、分類し、活用する…というアーキビストのお仕事は、映像編集でも役立つことばかり!
立教大学正門前
共生社会研究センター
アーキビスト・平野泉さん
【承前】国内外の市民運動のビラなどが、大量に保管されている書庫を見せていただいた後は、ベトナム戦争時代、日本国内で脱走した米兵を国外に脱出させる活動で、偽造(変造)されたパスポートの実物を見せていただきました。本物そっくりの出入国スタンプは、実は「点描」で描いたものだそうです。貴重な資料!
【承前】ワークショップでは、1970年代のビラ実物を使ったワークをしました。大阪セメントが、大分県臼杵市の風成部落にセメント工場を建設しようとしたことから、風成の漁民が反対運動に立ち上がったのですが、その運動の中で作られた数種類のビラを分析。誰がどの立場・目的で作ったか?など想像しながら。
【承前】アーカイブや資料整理・保存の思考を持つことは、当然、映像制作にも必要なスキルだと私は思っていたので、センター訪問の目的について、映像ワークショップの受講者の方々には事前に軽く説明した程度だったのですが、今回参加された方から「なぜこのセンターを訪問するのですか?」という質問がありました。
【承前】私自身は当然と思っても、映像を始めたばかりの人にとっては、そう思うとは限らないのだと反省。映像を撮る、特に市民運動などを記録するというのは、このセンターと同じく(規模は違いますが💦)、公には記録されない声を拾い、社会へ・将来へと伝えていくという点で同じではないかと思うのです。
【承前】センターのワークショップに参加できなかった受講者の方々のために、この日の訪問の様子を映像で撮影させていただきました。帰宅して、早速ブルーレイに焼いて、ディスクにナンバリングして保管。…これだって、もうすでに「アーカイブ」の仕事ですよね!?
【承前】昨日の講座では、これまで触れないまま終わることも多かった、「撮影した素材の保存」についても、わりと時間をさいて説明しました。センターの訪問と合わせて、皆さんがデータ保管の重要性を感じ、今後、データ保存にいそしんでもらえると良いですが😀!!
(ちなみに、共生社会研究センターの訪問について、2020年の講座で訪問した際のブログで、詳しく紹介しています。長文ですが、こちらよりご覧いただけます:「アーカイブの家~その記録、ゴミか資産か?~」)。
さて、講座の第6回&第7回は、講座時間のほとんどを課題作品の編集作業に充てています。課題作品は、1回だけの取材で、なおかつインタビューは5分程度ですから、素材がとても限られます。ですから、早い人は第6回の講座時間中に作品が仕上がります。例年、そういう人が大抵2~3人はいます。
…しかし、今回は編集ソフトの扱いの難しさからか、第6回目の時間内で作品が仕上がった人はいませんでした。あともう少しで仕上がる…という雰囲気さえ感じられず、(このままでは最終回に間に合わない人が続出するかもしれない😵💫)という危機感を持ちました。
作品がひとつも完成しないまま、もう8月を迎えてしまいました。8月2日になってようやく、作品が完成したかもしれないという連絡が! 当時のX投稿です:
2023年8月2日
夕方に帰宅してメールを見たら、映像ワークショップの課題作品で、一番乗りで「出来たかもしれない」という連絡が! 全くの初心者だった方が、「映像を切り取り、繋げた」、「静かに始まるとか重ねるは一切なし」(フェードインとトランジションはナシ)と! 「でも本当に繋がったかわからない」と!
【承前】本当に繋がったのかどうか、最後の工程として「書き出し」をし、書き出した映像ファイルを、ギガファイル便にアップして、ダウンロード用のリンクを私に教えてくださいとお願いしました(やり方は紹介済み)。書き出しとかギガファイル便とか、そんな言葉を使って会話しているのが感慨深いです😭
作品が完成したという知らせを受けて、かなり興奮気味のわたし😅 その後に、「課題作品をギガファイル便で送った」という連絡をもらって、ワクワクしながらダウンロードする心境を、Xに投稿しています:
2023年8月4日
明日の持ち物、パソコンもビデオカメラも、もう全てキャリーケースに入れてしまいましたが、今さっき「課題作品をギガファイル便で送りました」というメールをスマホで目撃😮 これは荷解きして、パソコンでダウンロードしないと!! どんな作品に仕上がっているのか楽しみです!!
【承前】今、ギガファイル便からダウンロードして拝見したのですが、課題作品(高麗博物館)ではなく、最近行ったプライベートの旅行を撮影・編集されたものだったので、そこはズッコケました😓 しかし、カット編集やキャプションなどバッチリ出来ていたので、基本はひと通りマスター出来ているのがわかりました。
さて、講座の第7回目。講座時間内で作品を仕上げるなら、この日が最後です。果たして、何人の方が作品を完成させることが出来たのでしょうか? 当時のX投稿です:
2023年8月6日
講座の内容としてあらかじめ予定していたものは、全て終えられて良かったのですが、受講された方々は「課題作品の完成・提出」という山場が残っています! 昨日までに完成させた方は4名🥹! 残り10名以上の方はこれからです🥹! 今回から高機能な編集ソフトを導入したので、来週は臨時で6時間の補講があります💣
【承前】編集ソフトの使い方については、講座でデモンストレーションした他、レジメと、レジメに連動させた画面録画の解説映像を用意しました。映像は受講者限定でYouTubeにアップ。これは結構好評で、かなり再生されています。昨日は、スマホで私の解説映像を観ながらパソコンで編集作業をする人もいました😮
上記Xに投稿したとおり、第7回目終了時に作品が完成した人は4名でした。今回、受講者15名のうち、途中で体調不良となった1名の方を除いて、14名の方が完成を目指していましたので、あと10名の方がこれから仕上げるという状態でした。自宅でひとりで仕上げる場合、ほんのちょっとしたことで先に進めない(例えば、表示されるはずの画面が出てこない等)トラブルが予想されるため、臨時で補講を行うことにしました。
2023年8月12日
今日はこれから、映像ワークショップの臨時補講です。もう予定していた講義は終了し、あとは来週末の完成披露上映会を待つばかりですが、今回から導入した編集ソフトで苦戦している人が結構いるので、臨時で補講をやることにしました。自由参加で最長6時間の補講。無事今日で完成するでしょうか!?
【承前】ちなみに、現時点で作品が完成し、提出済みの方は5名。今日は最後の仕上げに来る方もいれば、まだタイムラインにひとつも並べていないという人もいます😱😱😱 何時からきて何時に帰っても良いという形式。最長6時間コースになったらお尻が痛くなりそうなので、座布団も出しておきました😅
【承前】映像ワークショップの臨時補講、6名の方が参加され、5名の方が作品を完成させました! 残るお一人は、音声が聞き取りにくいとのことで、残りはご自宅で仕上げることに。あらかじめお昼を食べて向かいましたが、さすがに5時間半もやるとお腹がすいてしまい、差し入れが有り難かったです😋
【承前】最後まで残った方々と、シビル近くのレストランへ。乾杯のビールの美味しいこと!!
臨時補講を終えた時点で、10名の作品が完成しました。完成披露上映会まであと1週間。編集作業でわからないことについて、メールや電話でやり取りして完成した人もいれば、私が自宅までお邪魔して一緒に編集作業をするということもありました。ラスト、怒涛の一週間についてのX投稿です:
2023年8月16日
今日は、映像ワークショップ受講者のかたのご自宅におじゃまし、編集作業のわからない部分を説明しました。ワークショップで家まで行って…というのは、わたし史上初なのですが、その方は先日の臨時補講に出たくても出られず、わからない部分があり、なおかつ私と案外家が近かったのです。
【承前】編集作業の前に美味しいご飯をいただき、さらにたくさんのお菓子もいただき、編集作業に取り掛かるまで約2時間おしゃべり。それから編集作業開始!!
作品を今日中に完成させなければ…というプレッシャーはあったものの、美味しいご飯とおしゃべりで、楽しいひと時でした😀
【承前】編集作業あるある、ですが、3分間ぐらいの作品なのに、なぜかタイムコードは8分間ぐらいの長さと表示されている…。そんな時は大抵、タイムラインの先の方に、離れて小さな映像クリップや字幕が、忘れて放置されていることが多いですよね😅
たとえば、下の写真、赤丸で囲った部分がそうです。「消し忘れ」や「あとで使うかも」と、タイムライン上にポツンと字幕が残っています。私も今でも時々やってしまいます。
【承前】今回から新しい編集ソフトを導入し、私自身もあらかじめ色んなやり方を試して、起こりそうな問題は把握していたつもりでした。でも実際、皆さんに使ってもらうと、私では想像し得なかった様々な「こんなときどうする?」が出てくるのです。臨時補講などして、編集作業の過程に立ち合うのは(続)
【承前】わからない部分を解決し、作品を完成させるためですが、でもそれだけではなく、私にとっても、扱い始めたばかりのソフトの検証になります。良く起こる「こんなときどうする」については、FAQにして追加で配ろうとも考えました。ちょっとしたことで(タブの切り替え等)先に進まない!の世界ですから😮💨
【承前】でも、それにしても、初めて触る人にとっては面喰らうような高機能なソフトで、今日までになんと12名の方が作品を完成させました! すごいことだなぁと、びっくり&感激しています。予定では、あと2名の方が提出されることになっていますが、無事出来るでしょうか?!🤩
完成披露上映会まで、あと3日! 最終回(上映会)の様子と、YouTube公開された完成作品を「2023年映像ワークショップ振り返り#7」でレポートします。