年が明けてしまいましたが、昨年(2023年)に立川の「市民の学習・活動・交流センター シビル」の第49期市民講座として開催された、映像ワークショップについて振り返りたいと思います。
数えてみたら、シビルで映像ワークショップを担当するのは、今回が4回目でした。最初は2015年10~12月(全6回)の講座として始め、その後は、2017年5~7月(全6回)、コロナ禍の2020年9~11月(全8回)、そして今回の2023年5~8月(全8回)です。(これまでのシビル市民講座の一覧は、こちらよりご覧いただけます)。
シビルのほかに、市区町村や学校などでもワークショップを担当することはありますが、いずれも単発もしくは2~3回完結のものがほとんどです。なので、各回3時間×8回(=合計24時間!)という、ラーメンでいうところの「具材全部のせ」のような講座は、私はシビルでだけ行っているということになります。
回を重ねるごとに試行錯誤しながら、講座のメニューを組み立ててきましたが、内容的には前回(2020年)の講座で、大枠が形成されたように思います。まず、初心者~中級者ぐらいの方が、映像制作を始めるにあたって、最低限押さえておくべきことをカバーする。これがベースです。加えて、私が意識していることは、映像制作を学ぶことによってその人がエンパワーメントされること(表現したい、社会と関わりたい、交流したいetc)と、公には記録されることの少ない市民の声を記録し伝えていくことの重要性を知ることです。根底にはそれらの願いを持ちながら、各回の講座内容を構成していきました。
今回の映像ワークショップ開催は、2022年の年末に、お歳暮代わりの自家製干柿を、シビル・河野さんに持っていったときに決まりました。河野さん「やりませんか?」⇒私「やりたいです」のやりとりだけで、あとはカレンダーを見ながら日付を決めただけ、早い!
その時のX(旧ツイッター)投稿です:
2023年1月7日
年末にシビルに行き、来年は映像ワークショップをまたやりませんかというお話をいただいて数日後。なんと全日程の会場を、河野さんがもう押さえてくれました😮!今年は初めて週末開催にしてみたので、参加しやすくなるかも。5月13日から隔週土曜日午後、全8回の予定。興味のある方はぜひ頭の片隅に💕
会場は前回同様、近隣の柴中会公会堂1階(定員30~40名程度の部屋)を借りてもらいました。この講座の定員は15名ですが、映像ワークショップは、三脚を広げてインタビュー撮影の練習をしたりするので、場所は広い方が使いやすいのです。
講座の開催が決まり、日程と会場も決まり…となると、次は課題作品の取材先です。前回はシビルつながりで、国立谷保の「かけこみ亭」と、DV被害、生活困窮女性のための自立支援「jikka」に取材をお願いしました。
前回の課題作品のうち、2作品はYouTubeで公開されています。以下にご紹介します:
〇『かけこみ亭の冒険』井口政基さん(5分25秒)
〇『「かけこみ亭」探訪』小泉雅英さん(15分23秒)
課題作品は、撮影と編集の技術を学ぶためのものですが、私としては、課題作品の制作を通じて、受講者の方が社会を別の視点から見る・知るきっかけになればと思いますし、取材に応じていただく相手先にとっても、その活動がより多くの人へ知られる一助になったら良いなと思っています。
そのように考えて、今回の課題作品取材先は、新宿の「高麗博物館」と杉並の「あなたの公-差-転(kosaten)」にお願いしました。
〇高麗博物館とは(高麗博物館ホームページより引用)
高麗博物館は「市民がつくる日本とコリア交流の歴史博物館」です。「高麗」は世界の共通語「コリア」の意味、つまり韓国と朝鮮をひとつにとらえた言葉です。
有史以前から、朝鮮半島と日本列島の人々は豊かな交流があり、先進文化は朝鮮半島を通じて日本に伝えられ、日本は発展してきました。ところが日本は近代以降コリアを侵略し植民地にしました。しかし戦後、私たちの国はこの事実にしっかり向き合ってはきませんでした。在日コリアンが日本にいるということ、今も差別が続いているということは、過酷な植民地支配の歴史を象徴しています。日本人の多くは、このような歴史も、コリアンの心の内も、ほとんど理解しないで過ごしてきました。
私たちはこのような歴史の事実に向き合い、学び理解することを心がけたいと思います。これは日本とコリアの信頼関係の土台になり、東アジアの平和につながるものです。そして在日コリアの人たちと共に良き隣人となる道を歩んで行きたいと思います。皆様のご来館を歓迎いたします。
〇あなたの公-差-転(kosaten)とは(kosatenホームページより引用)
公 public + 差 difference + 転 change
公共空間として誰でもいつでも入れる場所、自分と違うものと出会う場所、何かをこれから変えていく刺激になる場所。パブリック=公共の概念そのものを違う方向へ転回していく場所です。
あらゆる方向に向かっている人が一時的でもクロスする場所として、生き方、考え方、見方が必ず統一しなくて、自分のスタンスと違って、さまざまな立場を持つ人と出会うことで新しい気づきがお互いに生まれてきます。
隣にいる人は自分と異なる国籍、ことば、ジェンダー、セクシュアリティ、障がい、視点、価値観をもつ前提で、「差異」を大事にする空間。ここはあらゆる違いを認める場所です。さまざまな人が安全に共有できるスペースを作っていきたいです。
自分の当たり前のことをひっくり返す場所として固定概念を壊して、自分の価値観を問い直す機会を設けます。そのプロセスの中表現と対話が重要な軸になり、表現の自由と他者と向き合う場所、多様な声が上げられると同時に他人の声に耳を傾けられる場所になりたいです。
===
高麗博物館とkosatenに課題作品での取材をOKしていただき、講座開始時に配布するためのパンフレット、資料などをいただきました。以下は、その時のX投稿です:
2023年2月25日
今日は秦さんと一緒に、新大久保の高麗博物館へ。現在開催中の収蔵品展見学とギャラリートーク。安重根の遺墨について詳細な説明が聴けました。3枚め写真の遺墨は死刑執行5分前に書かれたものだそう(レプリカ)。左手の薬指が短くなっているのは同義断指会ゆえとのこと。収蔵品展は4月23日まで。
【同日の別投稿】5月13日から始まる、立川シビルでの映像ワークショップでは、講座の最終回までに各自が映像作品を仕上げます。高麗博物館を、ぜひ課題作品の取材先としてお願いしたいと申し込み、引き受けて頂けることになりました! 今日は講座で紹介するために、リーフレットなどたくさん頂きました😀
2023年5月11日
いよいよ明後日、土曜日から開講の映像ワークショップ。昨日は、課題作品取材先としてお願いした、杉並区善福寺の「kosaten」 におじゃましました。美味しいヴィーガン料理を頂きながら、近況お聞きしました😋 取材を通じて、受講者の方々がkosatenと出逢うのが楽しみです😀
ところで、今回初めて週末の開催にした…と書きましたが、それゆえか、今回は申し込みのスピードが速かったです。中には、募集開始前から申し込んでくださった方も!
2023年3月4日
5月13日から隔週土曜日午後、立川シビルそばの柴中会公会堂で開催する、全8回の映像ワークショップ。間もなく募集開始となる予定ですが、もう既に受講の申し込みがあったと、シビルの河野さんからお聞きしました。興味を持ってくださる方がいて嬉しいです😀 充実した講座に向け、諸々準備中🥰🥰
2023年3月24日
2週間前から募集を開始した、立川シビルでの映像ワークショップ。すでに10名のお申し込みがあったと、主催者のシビルから連絡を頂きました。定員は15名。撮影・編集からネット公開まで、各回3時間×全8回の「全部乗せ」的な講座です🍜。ご興味のある方はぜひ😀
結局、4月中に定員15名に達しました。やはり週末開催というのと、アサココへの掲載が大きかったのでしょうか。そのほか、「ふぇみん」や「東京ボランティアセンター」で情報を見て申し込んだという方もいらっしゃいました。いずれにせよ、期待して早々と申し込んでくださった方々のためにも、良い講座だったと満足してもらえるよう頑張らねば!と気を引き締めました。
「2023年映像ワークショップ振り返り#2」へ続きます。