2022年1月26日、参議院議員会館にて、函館市大間原発建設差し止め裁判・第26回口頭弁論にあわせた集会が開かれ、本間照光さん(青山学院大学名誉教授)による講演が行われました。
講演と質疑応答の様子は、以下よりご覧いただけます(講演約50分、質疑応答約17分)。
参考1:講演配布資料(以下)
大間原発裁判報告と講演会
参議院議員会館 2022年1月26日(水)
幻の舞台、核のごみ最終処分地選定
~ 「文献調査段階」はない、途中で手を下ろせなくなる ~
本間照光(青山学院大学名誉教授)
はじめに ~ 保険という鏡、みえてくる現実 ~
Ⅰ 幻の舞台 ~ 問われず、報道もされない危うさ ~
Ⅱ 名ばかりの「討論の場」 ~ 合意“無視”で最終処分地が決まる ~
〇 「文献調査段階」は存在しない
「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」(最終処分法)2000年
〇 虚構の理由
原子力発電環境整備機構(NUMOニューモ) - 核のごみ処分会社
①文献調査段階(机上調査)-実は②の一部、入り口部分
②概要調査段階(ボーリング調査)
③精密調査段階(地下施設での調査・試験)
『概要調査地区』とは、精密調査地区を選定するため、文献その他の資料により将来にわたって…地層内の地下水の状況その他の事項を調査する地区」(2条)
「地域の意見を聴く(反対の場合は先へ進まない)」(NUMOの説明)
〇 自治体に決定権なし-途中で手を下ろせなくなる
〇 虚構の先の「パンドラの箱」
Ⅲ 虚構の大もと ~ 加害者を守ってきた「原賠制度」~
〇 「原子力損害の賠償に関する法律」(原賠法) 1961年
〇 科学技術庁委託-日本原子力産業会議「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害に関する試算」1960年4月
3兆7300億円 -国家予算の2.5倍
原賠法「賠償措置額」 50億円(現在1200億円)
〇 「原子力損害賠償支援機構法」 2011年8月
(後に「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」と改称)
Ⅳ 「核のごみ」投棄で、責任が消えてなくなる
〇 核のごみだけでなく責任も投棄
〇 核のごみ事故で夢まぼろしと消える
「機構が…最終処分業務の全部叉はその大部分を行うことができなくなった場合…別に法律で定める」(最終処分法74条)
〇 安全基準なき処分地選定
「安全の確保のための規制については、別に法律で定めるところによる(20条)
―合格者を決めてから試験問題・配点作成
Ⅴ 汚染水、廃炉、核のごみに見る「無責任・非科学・秘密主義」
~今ここの自画像をみて10万年をみたつもり
原発運転数十年の事故も見通せなかった~
〇 汚染水も廃炉も、未来へ投げ棄て
〇 不可能な「10万年の管理」
〇 「科学的」と称する非科学
〇 「非開示」という悪習
〇 国際原子力ムラが先導
おわりに ~「死の箱」を開けないために~
(参考)
本間による以下の論考
〇 「原子力保険のパラドックス―核時代と原子力損害賠償制度」
『技術と人間』1982年3月号
(『保険の社会学―医療・くらし・原発・戦争』1992年、勁草書房所収)
〇 「原賠制度から見た核のごみ問題~投げ棄てられるリスクとコスト、責任」
岩波書店『科学』電子版、2020年11月(リンクはこちら)
(『科学』2021年1月号にも掲載)
〇 「虚構の「核のごみ」最終処分」
エコノミストオンライン(4回連載) 2021年7月~8月(リンクはこちら)
『科学』電子版とエコノミストオンラインの論考は、ウェッブで公開されていて自由に読めます。
(配布資料ここまで)
参考2:集会・講演の案内チラシ(表&裏面)
(集会前半の、函館市大間原発建設差し止め裁判・第26回口頭弁論後の弁護団報告については、こちらをご覧ください)。
以上です。