私は今、集合住宅で暮らしているので、ベランダにプランターを置き、細々と家庭菜園モドキをしています。
それが、今年の春から近所の農業研修に通い始めたので、週1回とはいえ広々とした農園で思い切り畑作業ができるようになりました。ありがたいな~と思いながら毎週通っています。(そのことを書いた記事はこちら)。
ところが、つい先週から、私は敷地内の空き地の管理を引き継ぐことになり、今はその空き地を「畑」に変えるべく奮闘しています。
どうしてそうなったかというと…
8月下旬、ある暑い日の午後、突然私の家に救急隊員がやってきました。
私の真上に住む住民を救助するためにやってきたが、玄関の鍵が閉まっているので、私の住居のベランダから上階のベランダに登らせてほしい、ということでした。
私はびっくりしましたが、もちろんOKしてドアを開け、2名の救急隊員がうちのベランダから上階へと登っていきました。
真上の住民さんが、倒れているのか、それとも死亡しているのか、どちらで救急隊員が来ているのか、私は分かりませんでした。
あとからやって来た女性二人組(見守りサービスかどこかの職員という感じで、親族ではなさそうでした)が階段の踊り場にいて、警察官の聞き取りに応じていたので、「どうしたんですか?」と尋ねました。
女性二人組は、「私たちからは詳しいことは言えませんが、でも大丈夫です」と答えました。
一体、なにがどう”大丈夫”なのかは分かりませんでしたが、結局、地上で待機していた担架に誰も乗せられることなく、救急車は去っていきました。
(じゃあ、結局”大丈夫”ということだったのかな?)
そう思いながら、しばらく暮らしていました。
私は、真上の住民さんとは、一度しかお会いしたことがありません。私のベランダに、男性用のズボンが落ちていたので、たぶん真上の人のだろうと思い、インターホンを押して届けに行ったときに、最低限の言葉を交わしただけです。
それ以外は、たまに物音が聞こえる程度で、階段やごみ捨て場で顔を合わせることもありませんでした。
救急隊員がうちに来て1週間後、私は気になって、真上の住民さんのポストを外からそっと覗いてみました。
明らかに数日分以上と思われる郵便物が、ポストの中にたまっていました。
これはおかしい、中で倒れているのではないか?
そう思って、上階のお隣さん(私の住居から見て斜め上の住民さん)を訪ねました。こちらの住民の方とも、私はこれまで話したことがありませんでしたが、私の真上の住民さんの郵便物がたまっている、何かご存知ではありませんか?と聞きました。
斜め上の住民さんは、私の家に救急隊員が来たとき、ちょうど夫婦で病院に出かけていて、帰ってきてからそんなことがあった(=真上の住民さんのところに救急車が来た)と知ったそうです。
斜め上の住民さんによれば、真上の住民さんは、約10年ほど前に引っ越してきた独り暮らしの男性で、年齢は70歳ぐらいだそうです。彼は夜勤で働いているので生活時間帯が違い、ほとんど話したことがないと言っていました。
救急隊員が来た結果がどうだったのか、斜め上の住民さんも知らないということで、「あとで調べてお知らせする」と言ってくれました。
その結果…
真上の住民さんは、残念ながら孤独死をされていたそうです。。。
北海道にその方のお姉さんが暮らしているそうですが、コロナ禍のため片づけに上京することができないそうで、半年か1年ぐらいはそのままにしておくかもしれない、とのことでした。
実際、現在も、真上の住民さんの部屋は引き払われておらず、電気も通電しているようで、インターホンのランプが点灯しています。郵便ポストだけは、管理人さんがガムテープでふさぎました。
不幸な出来事ではありましたが、この一件以降、私は斜め上の住民さんと時々会話をするようになりました。そして、話をするようになったついでに、農業研修でいただくお土産野菜を、おすそ分けするようにもなりました。
最近のお土産野菜には、大抵「九条ネギ」が入っています。九条ネギをおすそ分けしたところ、「関西出身だから九条ネギは大好き!」と、とても喜んでくれました。
以降、ほぼ毎週、九条ネギや玉ねぎ、ピーマンなどをお届けしています。
お返しに…と、オリーブオイルとブルーベリーのジャムを頂きました。
見るからに良さげな商品ですが、こちらはタダでもらってくる野菜をおすそ分けしているだけですから、気を遣わないでくださいとお願いしました。こちらこそ、近所の人に美味しく食べてもらえるのは、うれしいことなのですから!
真上の住民さんの事件以降、ほぼ毎週、斜め上の住民さんのところへ野菜を届けに行くようになり、その際に世間話をする機会が増えました。「いつ引っ越してきたの?」「どこで野菜を習っているの?」「ずいぶん上手に作れるんだね」…そんなたわいもない会話ですが。
あるとき、台風が接近するという予報があり、私はベランダに置いているプランターを、前日夕方から階段の踊り場(共用部分)に退避しました。ベランダに置いておいたら、強風・大雨でダメになってしまうからです。
一時的とはいえ、他の住民の迷惑になるので、恒常的に置くのではない、あくまでも一時的な避難だとアピールするため、貼り紙をして置きました。
(翌朝気が付いたのですが、「避」のしんにょうが抜けていますね💦)
その数日後、また斜め上の住民さんのところへ野菜を届けに行きました。その際、「プランターでも野菜を育てているの? あなたのプランター、ベランダじゃなくて下に置いたら? そのほうが良く日に当たるよ」と提案されました。
私が暮らしているところは、建物の周囲に空きスペースとなっている部分があります。雑草が生えているだけのところもあれば、古参の住民で、花好き&世話好きな人たちが花やハーブなどを植え育てているところもあります。
私の斜め上の住民さんは、長年花を育ててきましたが、今年の夏に足を悪くして、階下まで水を運ぶことが出来なくなってしまったそうです。これまで大好きだった庭いじりが、今では逆に負担となってしまった、と。
「あなた、そんなに土いじりが好きなら、あそこでやってみたら? もう、あなたにバトンタッチしたい」
…そんないきさつで、私は空きスペースの管理を始めることになりました。
南西に面した土地の一角。
土地は石ころだらけで、見るからに瘦せ、保水力もなさそうで、農園の土とは大違いです(> <)
鎌を借り、雑草と石ころを取り除いていきます。
1時間半ほどかけ、草と石を大雑把に取り除きました。もしかしたら、思ったよりは悪くない土地かもしれません??
敷地の一角には、ローズマリーが立派に育っています。これ、100円で買った小さな苗を、プランターからこの場所に移植したら、あっという間にこんなに大きくなったそうです。生命力の強いハーブなら、この土地に根付くかもしれません。
この日はここまでで作業をやめ、翌朝、作業を再開しました。
朝、前日整備したところに行ってみると…
きれいに整えた場所に、侵入の痕跡が!!
斜め上の住民さんが予言したとおり、ネコのトイレにされていたのでした!!
この辺りは住宅街なので、緑(街路樹や芝生)は多いですが、むき出しになっている土はほとんどないのです。「ふかふかの土にしたら、ネコのトイレになるよ」と言われていましたが、まさか翌日にもうトイレになってしまうとは!!
対策をすべく、百円ショップに行きました。
鳥や小動物の対策に…と書かれた防鳥ネットを購入。ネットだけを買うつもりが、誘惑に負けて野菜のタネまで購入してしまいました(^^;)
防鳥ネットを使うのは初めてですが、果たして効果はあるのでしょうか…?
ほうれん草とパクチーのタネを買ってみました(^^)
さて、長靴に履き替え、早速作業に取り掛かります!
住民共同で使用している生ごみコンポストから、たい肥を何往復か運びました。
コンポストは電動式なので、野菜くずはすぐに分解され、臭いもほとんどありません。私が研修で通っている農園からたい肥をもらうことも一瞬考えましたが、農園のたい肥は馬糞を使用しているので臭いがきつく、住宅街では難しいと思ってやめました。
直播きのほか、余っているプランターにも種まきをすることにしました。周辺から落ち葉を拾い、石ころを集めてきて、プランターやポットの底に敷き詰めます(通気性と排水のため)。
広々と作業ができるのは良いですが、唯一の難点は地上に水場がないことです。家から持ってきた、空のペットボトルに入れた水は、瞬く間になくなってしまいました。
…すると、私が作業する様子をベランダから見ていた住民さんが、大五郎焼酎の空ボトル(4リットル)を寄贈してくれました。そのほかにも、買って使わないままの土、麦わら帽子、支柱など、様々なものを「もう使わないから」と提供してくれました。
これは頑張らないと!
大五郎のペットボトルが、早速大活躍!
さて、プランターとポットのあとは、いよいよ直播です。農業研修で習ったように、支柱を使って浅い溝を作ります。
7本の溝を作り、ほうれん草、パクチー、菜の花、のらぼう菜のタネを蒔きました。
たっぷり潅水してから、タネを薄く覆土し、そっと力を入れて鎮圧。保水力がなさそうな土なので、ちゃんと発芽するか微妙ですが、実験なのだから失敗しても問題ナシ!と割り切って、良かれと思うことを試したいと思っています。
百均で購入した防鳥ネットを、支柱と割りばしで固定しました。割りばしはコンビニのお弁当についてきたもの。支柱よりもむしろ扱いやすいと感じました。
風でも吹き飛びそうにないですし、これならネコは来なさそう…???
ただ、こういうものを使うのが初めてなので、効果がなかった時のために、あえて全面を畑にせず、むき出しの土の部分を一部残しておきました。ネコが、畑部分には侵入せず、むき出し部分をトイレにするように…。
これだけの作業に意外に時間がかかってしまい、気が付いたら夕暮れになっていました。
作業道具を片付け、周囲に飛び散らかった土ぼこりをホウキではきました。作業用の長靴は、ここで履き替えてビニール袋にしまいます。集合住宅で土いじりをする場合、共有部分(通路や階段など)に土を持ち込まないというのが大事だと思います。
さて、タネ蒔きをし、ネコトイレ対策を施した翌朝、水やりもかねて見に行きました。
荒らされた様子がありません!! これは効果ありですね?!
ネコトイレ対策としては大丈夫そうだったので、あとは、この痩せた・乾いた土地で、無事発芽&成長するかどうかです。
私がこの一角で作業する様子を、感心しながら見ていた斜め上の住民さんは、(これなら任せて大丈夫)と思ったのか、その隣にある幅1メートル、長さ8メートルぐらいの場所も使ってほしいと言いました。
住民さんは、咲いていたコスモスを引き抜き、更地にしました。膝が痛いので、この小さな椅子がないと作業ができないと言っていました。
南西の一角だけと思っていたら、管理地が倍以上になってしまいましたが、でも面白そう!! 今度は、東南に面した細長い敷地です。こちらは朝~午後1時ぐらいまでの日当たり。
翌日、さっそくこちらの敷地の整備に取り掛かりました。
こちらも石ころばかりの固い土地…
また百円ショップに行き、前日使って効果のありそうだった防鳥ネットをもう2つ、そして土ふるいのザルを購入しました。
今のところ、使った金額は合計550円(税込み)。そもそも、いつまで・どこに住めるかわからない放浪人生(望んでいるわけではないですが💦)。この場所に住めている間の実験ですから、出費は1,000円までにとどめたいです。あとは、あるもの・もらいもの・拾いもので工夫すべし!!
とはいえ、この百均土ふるいはとても優秀で、すでに1,000円ぶんぐらいの働きをしてくれました。これは買ってよかったです!!
取り除いた石は、雑草を生やせたくない場所に敷き詰めていきます。
下の写真、向かって右側の部分に、石を敷き詰めます。
ひたすら石を取り除き、土をほぐす作業の繰り返し…
3~4時間かけて、一応全体の石ころを大雑把に取り除きました。
土の養分を増やすべく、生ごみたい肥を何往復か運びます。前述したとおり、ここの生ごみコンポストは電動なので、野菜くずの類はすぐに分解されますが、アサリの貝がらや牛・豚の骨などは破片のまま。ここでも、百均の土ふるいが活躍しました。
斜め上の住民さんより、花を植えていた鉢植えも譲り受けました。夏に育てていた花が終わり、表面は雑草に覆われています。
表面の雑草を取り除き、鉢植えの土を畑に混ぜて使うことにしました。
これはこれで良さそうな土です(?)。
生ごみたい肥と鉢植えの土で、全体の土の量がかなり増えました。
ここにも、一部ほうれん草を種まきしたいと思い、味付け海苔とおせんべいに入っていた、乾燥剤の石灰をまきます。ほうれん草はとくに酸性土壌を嫌うので、石灰で中和するためです。
野菜作りをすると、今まで捨てるだけだった生ごみや石灰などが活用できて良いですね(^^)
ほうれん草を種まきしたいエリアに、石灰をふりかけ、漉き込みました。
これで一応、土づくりは完成です! この日は結局、半日ほど作業をしてすっかり疲れ果ててしまったので、タネ蒔きは翌日行うことにしました。
次の日。私は、この長さ4メートルほどのエリアを、半分に分けて実験したいと考えました。半分は、タネ蒔きをして、ネコ除けのネットを張るエリア。もう半分は、現在、ベランダのプランターで育てている苗を移植し、ネットを被せないで育てるエリアです。
まずは土地全体を平らにならします。こういう作業はレーキがあれば楽ですが、私は持っていないので、スコップで平らにしていきました。
南西の土地同様、タネ蒔きのエリアに、支柱を使って浅い溝を作りました。
ほうれん草、菜の花、のらぼう菜、サニーレタスなどをタネ蒔きし、防鳥ネットを被せました。
さて、次はプランターの苗の移植です。ベランダのプランターで育てる利点は、地上から高い地点なのでほとんど虫に食われないことです。一方、欠点としては、狭く密集して育てるため、あまり大きくならないこと。
10月に入り、やっと涼しくなってきましたが、地上ではまだまだ虫がたくさんいるでしょうか? それとも、もう大丈夫でしょうか? これも実験と思って、やってみることにしました。
プランターで育てているのは、小松菜、チンゲン菜、ケール(青汁の葉)、パクチーなどです。アブラナ科の野菜は、特に虫食いの被害に遭いやすいのですが、さて、どうなるか…?
バジルは、もう終わる時期(種をつける時期)なので、移植せず、このままプランターで育てます。
苗を移植するエリアに、支柱を使ってガイド線を引きました。
スプーンで苗をすくい、ガイド線に沿って移植していきます。下の写真は、ケールの苗。上手く育てば、かなり大きくなるはずです。(ただし、虫に食われやすい!)
種蒔きしたエリアには防鳥ネットを被せましたが、こちらにはネットは被せないつもりでした。
では、どうするのか?
先に、南西の場所を整えた際、「翌日に猫のトイレにされてしまった」とSNSで呟いたら、その投稿を見た野村保子さんより、「犬猫対策には、木酢液か竹酢液が有効だった」と教えてもらったのです。なので、ここにはネットを被せないで、竹酢液を使ってみることにしました。
数年前、入浴剤として良さそうと思い、インターネットで竹酢液を買いました。
ただ、実際に使ってみると、肌には良いのかもしれませんが、タールのような臭いが肌や髪に残り、洗濯にも使えないので、2~3回使っただけで使わなくなってしまいました。
洗面所の奥にしまい込んでいた竹酢液が、ネコトイレ対策として復活するとは!
竹酢液は、ご覧のような茶褐色です。このタールのような臭いが、嗅覚の鋭い犬猫除けとして良いのだそうです。
キャップ1杯を水で薄め、苗を移植したエリアにたっぷりとかけました。
この効果がいつまで続くのかは、ネット上では見解がバラバラで不明です。1日でダメと書いてあるものもあれば、数日は大丈夫という書き込みも。
ただ、木酢液や竹酢液は、「酢」という文字が含まれていることから推測できるように、「強酸性」です。なので、毎日畑にまくと、土壌が酸性に傾き、作物の育成に良くないそうです。畑に撒く場合は、2週間以上の間隔をあけるように推奨されていました。
ネコ除けの効果は数日。ただし、畑に撒くのは2週間に1度。
…それでは、ネコ除け対策としてやや心もとないので、畑の部分ではなく、畑の周りのコンクリート部分に、竹酢液を薄めて毎日撒くのが良いのではないか?と考えました。
手前のコンクリート部分に、ネコが嫌がる臭いが染みていれば、その先の畑には侵入してこない。そして、コンクリート部分に竹酢液を撒く分には、畑の土壌は酸性には傾かない。
…こんな仮説を立ててみたのですが、どうなるでしょうかね?!
この状態で、この日の作業を終えました。移植したばかりの苗は繊細で、まだ弱弱しいです。ネコが来たら、簡単に踏んづけられてしまうでしょう(> <)。明日、無事であることを祈るばかり!
さて、翌日は朝から弱い雨でした。起きてすぐ、私は階段を降り、畑に向かいました。
昨日植えたまま、無事です! 侵入の痕跡もありません!! 竹酢液が効いているのかも?!
南西に面した畑は…
こちらも特に侵入の形跡はなく、そして、発芽していました! こんな瘦せた土地で発芽してくれてありがとう!!
発芽するかわからなかったので、タネを筋蒔きに密集して蒔きましたが、これだけ立派に発芽してくれているならば、成長に合わせて少しずつ間引きしていこうと思います。
さて、以上が、救急隊員が来たことをきっかけに始まった、私の敷地管理の現状です。これからどんな展開になるのか、ネコ除けは成功するのか、はたまたヒトによるいたずら・嫌がらせなどもあるのか、野菜から花へ転向するのか等々、どうなるのかはわかりませんが、いずれにしても「実験」と思って、ここに住み続けられる限り楽しみながらやっていきたいと思います。
以上、「空き地を畑に!~もらいもの、拾いもの、百均で野菜作りの実験中!~」レポートでした(^^)/