先月25日、「3分間映像ワークショップ」が無事終了しました。講座最終回(第8回)の完成披露上映会についてレポートします。
3分間映像講座の前半と後半の振り返りは、以下をご覧ください。
前半:シビル「3分間映像ワークショップ」、折り返し地点を過ぎて思うこと(こちら)
後半:シビル「3分間映像ワークショップ」講座の後半を終えての感想~「フォト」憎し!!(こちら)
後半を振り返るブログで書いたとおり、完成作品を仕上げるはずの第7回で、作品を完成させたのは4名でした。これはひとえに、今回の編集ソフトとして使用した「フォト」アプリの使い難さによるところだと思いますが、2週間後の完成披露上映会までに果たしてどれだけの人が作品を完成できるのか?と不安になりました。
2015年、2017年の同講座では、3~4人のグループで撮影&編集となっていたので、たいてい、グループ内に一人はパソコンが得意な人がいて、作品は時間内に仕上がっていました(これはこれで、得意な人ばかりがパソコンを触ってしまいがちという欠点はあります)。
しかし今回は、撮影はグループで行ったものの、編集は個人で、各自作品を完成させるとしていたため(コロナで機材の共有を避けるためです)、パソコンが苦手な人も自分で全てやらなければならないのです。
今から思えば、第7回(11月11日)と第8回(11月25日)の間、11月18日を予備日として、自宅で一人で編集作業をするのが難しいという人は、シビルに来て編集作業をする…という日を設けても良かったのではないかと思います。
…そんなことを思いながら迎えた、完成披露上映会の日。最終的には、当日体調不良で欠席された1名の方を除き、全員が作品を完成させ、上映することができたのでした!! 素晴らしい!!
ところで、受講された方々が編集作業を頑張っている間、私も何か作りたいと思って、取り組んでいたことがありました。
それは、「干し柿」です(^^)
以前お世話になっていた家で、収穫されないままの柿(渋柿)を取ってきたと以前のブログで書きましたが、それを干し柿にしたのです。
干し柿は、好みにもよりますが、大体2~3週間で完成するとされています。収穫したのは11月10日で、完成披露上映会までは15日間。そのあいだの天気さえよければ、干し柿は完成するでしょう。
干してから1週間経過のころ。数日おきに焼酎をスプレーで吹きかけ、カビを防止。
約2週間が経過した、完成披露上映会の当日。無事、カビることなく完成しました!!
「Thank you」の文字が、柿の色と重なってほとんど見えません…(^^;)
完成披露上映会は、課題作品の取材先である「Jikka」と「かけこみ亭」の方々にも参加を呼び掛けていたので、干し柿も多めに用意しました。
さて、干し柿の他に、もうひとつ用意したいものがありました。それは講座の修了証です。
今回、コロナ対策として、体調が悪いのに無理をして参加するのを防ぐため、修了証の発行はやめることにしていました。でも、結果的には半分以上の方が皆勤賞で、お休みされた方も1~2回程度だったので、せっかくなので差し上げたいと思ったのでした(世間的には認知度ゼロの修了証ですが^^;!!)
賞状の用紙をネットで購入(便利ですね!)。用紙サイズ・枠に合わせて、原稿を作りました。
皆さんのお名前入りで印刷したほか、予備として名前を空欄にしたバージョンも用意しました。申込時のお名前が間違っていたという事態に備えるためです。
記入用の筆ペンも持参しました。
シビルのハンコが押されると、がぜん本物感が漂います?!
さて、干し柿と修了証を携えて向かった完成披露上映会。受講者の他、シビルから河野さん、かけこみ亭から常連客のお二人、Jikkaからは代表の遠藤さんとスタッフの方1名が参加されました。ぼけまるさんは、かけこみ亭での定期イベントと重なり、参加できませんでした。
以下は、講座の様子を記録したスライドショー動画です。
完成上映会では、「シビル」⇒「Jikka」⇒「かけこみ亭」の順に作品を上映しました。上映会当日に提出された作品もあるので、私自身も初めて観るという作品もありました。
各作品の上映前または後に、制作者の方から挨拶をしてもらいました。作品に対して、前もって言っておきたいことや、撮影・編集をしてみての感想など、自由に語っていただきました。
各作品の上映後は、私からの講評もお伝えしました。(撮影:小泉雅英さん)
各作品を拝見しながら、私は作品ごとの個性を強く感じていました。今回、コロナのために編集作業を個人で行うとしたのですが、それによる苦労はありつつも、結果として作り手の個性が生かされることになったのではないか?と思いました。
以前、知り合いのベテラン映画監督が「映像を観て、これを作った人はどんな人だろう?と思い浮かぶのが良い作品」と言っていたのを思い出します。作り手の個性が輝いている、その時点でもうその作品は成功していると言えるのではないでしょうか(^^)
あと今回発見したことは、同じ対象を一緒に撮影し、別々に編集をするということで、他の人との対比ができるということでした。
これがもし、各自がまったく異なる対象を取材し作品を完成させた場合、そもそもの対象が違うので比べようがないですが、同じ対象を撮影したならば、(あの人は、このお店で、ここに目をつけたんだ? 私は気がつかなかった!)とか、色々発見があるからです。
この、「同じ対象をグループで取材し、編集は各自でやる」というのは、なかなか良い方法かもしれません(ただし、今回の方針の説明不足による混乱もあったので、今後も行うならば、説明をしっかりする必要があります)。
ところで、私は「シビル」「Jikka」「かけこみ亭」、全ての取材に立ち合いをしました。
「シビル」は、取材者がひとりでしたが、インタビューで聞きたい内容をしっかりと準備・構成してこられたので、作品もうまくまとまっていました。
DVなど困窮女性の支援をする「Jikka」の取材は、「Jikka」の取組に強い関心を持つ方々が参加され、自分がインタビューする番でないときも、皆さんが真剣にお話を聞き、ノートにメモをしていました(映像の取材時にメモ書きをするのは、その音が雑音となって入ってしまったり、机が揺れたりするので、あまりお勧めしない行為ではあるものの)。
他の人のインタビューにも真剣に耳を傾けていたので、合計5人がインタビューをしましたが、質問内容が被ることがなく、なおかつ、前の人の質問も受けて話がさらに広がる・深まる展開となりました。
取材を受けた遠藤さんは、今回の取材者のみなさんが、遠藤さんが話したいことを質問してくれて、なおかつ、重要な発言をきちんと作品に反映させている…ということに感心されていました。
一方、「かけこみ亭」の作品は、各制作者の編集力が試される結果になったと思います。
ぼけまるさんはとにかく自由、気まま。インタビューをしても、ぼけまるさん流のジョークやお芝居でかわされます。取材・撮影のハードルは限りなく低いものの、撮影した素材を見て(これ、何も聞けてない…)と愕然とする人もいました。ドキュメンタリー制作あるある、ですよね…!
撮れても撮れなくても、あとは「編集」でとにかく形にしないといけません…!
サービス精神が旺盛な人に限って、よかれと思ってあれこれ大げさにやってくださることが、かえって撮影を台無し(失礼!)にしてしまう… こういうことが良くあります。
そういう場合、とにかく撮影する側は忍耐が必要です。ず~~~っと撮影していれば、やがてお芝居にも飽きて、素になる瞬間があります。
また、質問にストレートに答えてもらえない場合でも、同じ内容の質問を体裁を変えながら、それとなく何度も何度も聞きます。何度も聞いていたら、そのうち、10回に1回はまともに答えてくれる時もあるでしょう。
そういう瞬間に遭遇するまで、こちら側が粘り強く撮影を続ける。
私自身はこのような方針で、ぼけまるさんのような自由人を撮影しています(^^)
…話がややそれましたが、無事、全作品の上映が終わりました。上映後は21:30まで交流会の時間としていましたが、気がつけばもう21:15…!
交流会は、受講された方々とシビル・河野さんのみ参加されました。
皆さんからの差し入れ。交流会の時間は30分程度でしたが、アルコール類もすべてなくなりました…!
私はふだんそんなにお酒は飲まない方ですが、無事ワークショップを終えることができた安心感からか、この日はたくさん飲みました(^^)
最後に、この講座にスタッフ兼受講者として参加してくださった小泉雅英さんが、「シビル運営委員会ニュース」に書かれた講座のレポートをご紹介します。
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「映画監督・早川由美子のワークショップ~あなたもできる3分間映像講座Ⅲ」無事終了!(小泉雅英)
9月下旬から始まった「あなたもできる3分間映像講座」(Ⅲ)が、11月25日、柴中会公会堂での完成上映会をもって、全8回、無事終了した。春からのコロナ状況の中、不安もあったが、毎回の消毒などの対策を講じた上で実施された。初日に出席した 13名は、映像制作経験のある方はゼロで、年齢、職業、動機も様々、女性がやや多く、遠方からの参加者もいた。そんな雑多な受講生が、全員、予定通り数分間の映像作品を完成させ、最終日の上映会を迎えられたことは、ほんとうに素晴らしいことだ。
早川講座の特色は、何と言っても盛沢山な内容だ。本場中国のフルコースのように、次々に大盛の情報が提供され、予定の9時半が来ても終わる気配もない。しかも、提供される情報の全てが、十分に仕込まれ、入念に準備されたものだが、すぐに消化できる量ではない。この講座にかけた講師の情熱とサービス精神が、どれほど大きいか、いやでも分かるというものだ。
例えば、講座第2回目では、「様々な映像表現を知る」として、ありのままの日常を撮った女性の作品や、独居男性が冷やし中華を作って、ふるまってくれる様子を記録した自作映像などが参考上映され、取材対象との距離感の小ささや、個人だから撮影できる利点などが説明された。「障碍者」の定型的イメージを解体するステラ・ヤングさんの講演や、イランの映像では、二項対立ではなく、見る者に問いを投げかけ、判断をゆだねることの大切さと、その点に映像の持つ力があることを、実例で示された。
ビデオカメラで何かを撮影することは、今や幼稚園児でもできるが、作品を創るということは、撮影や編集の技術だけではない。それ以前に、表現に関わる様々な問題を考える必要があるのだ。この点、本講座で語られたことは多く、講座内で消化できなかった方も多いかも知れない。今後じっくり咀嚼し、それぞれの作品制作の中で活かされることを期待したい。
「シビル運営委員会ニュース」第118号(2020年12月17日発行)に掲載
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今回のワークショップ開催にあたり、シビル事務局・河野環さん、スタッフ兼受講者の小泉雅英さんには、大変お世話になりました。また、受講してくださった方々も、コロナ禍の教室運営に理解・協力してくださり、感謝しています。この場を借りてお礼申し上げます。どうもありがとうございました!!