9月30日より、毎週水曜日・全8回の日程で映像ワークショップが始まりました(詳細についてはこちら)。先日、第4回までを終えたので、ここまでで感じたことを書きたいと思います。
もともとは、昨年末あたりからワークショップの開催について話し合い、GW明けに開講する予定でいました。しかし、2月ごろからのコロナウイルス感染拡大により、講座は延期となりました。
一時は、(今年はもう開催できないかも…)とも思いましたが、その後、シビルや講座スタッフの方々と話し合いを重ね、周囲の、再開した講座の開催方法なども参考にしながら、秋に開講することが決まりました。
感染が終息したわけではない状況での開催。
教室内の換気や机などの消毒はもちろんですが、今回は「毎回の授業の録画をする」ことが決まりました。体調が悪いのに無理をして出席するのを防ぐため、欠席をした場合は、授業の録画を見られるようにしたのです。
同様の理由から、「6回以上の出席で修了証を発行」としていたのは、今回は取りやめました。
飛沫対策については、受講者はマスク着用をお願いすることにしましたが、講師である私は、自分の前にアクリルパネルを設置して(そこで話すときは)マスクをしないことにしました。講座は毎回3時間ほぼしゃべりっぱなしなので、マスクをつけたままだと、声がこもって話しにくいからです。
アクリルパネルは、私が購入したのはサイズ60cm×60cm、大体4,000円ぐらいでした。実際に使ってみて、これはかなり便利だと思いました。講座やワークショップなどをされている方にお勧めです。
これらの対策を決め、とりあえず開催することになりました。
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定員15名に対し、ビデオ受講だけの人も含め、最終的に14名の申し込みがありました。私の講座は、もともと女性の受講者の方が多いのですが、今回も男女比は5:9。年代は30代~70代。映像制作は全く初めてという方から、大学時代に映画研究会に入っていた人や、8ミリで撮影をしていたという人など、様々です。
ドキドキしながら迎えた初日。
申し込みをして下さった皆さんが集まって、まず感じたのは、(教室が狭い!!!)ということ。
この日の参加者は12名だったのですが、教室がかなり手狭に感じました。これまでは、定員を多少オーバーしても受け入れ、同じ教室で18名ぐらいで開催していたこともあります。当時は「和気あいあい」ぐらいにしか思わなかった密度が、アフターコロナ(ウィズコロナ?)の今では、むしろ不安になってしまう…。
映像ワークショップは、座学に加えて、三脚を広げてカメラを構えたり、グループでインタビュー撮影の練習をしたり…といった実技もあるので、そもそも教室は広ければ広いほど良いのですが、これからの時代は、これまで以上に会場の「広さ」を意識しなければならないのでは?と感じました。
講座が既に開始したタイミングでしたが、シビルにお願いして、近隣の広い会場を確保していただきました。
シビルから徒歩3分、柴中会公会堂
現在は会場の広さの問題は解決しています。(ただし、会場費が発生しているので、今後については課題が残ります)。
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講座では、最初の3回は「撮影」、続いて2回が「編集」について学ぶ回となっています。以前のブログ(映像ワークショップを開催するには?~機材、編集ソフト、課題図書、オンライン受講etc. ~現在の私見・実践まとめ)でも書きましたが、2017年のワークショップまでは、Windows Movie Makerという無料の編集ソフトを使っていました。
しかし、その後Movie Makerの開発・提供が無くなってしまったので、今回からはWindows 10の「フォト」アプリを使って編集をすることになりました。
私は、自作の編集作業では、有料の編集ソフトを使っています。なので、私自身が「フォト」に不慣れで、まだ全ての機能をいじり倒した状態ではありません。講座では、私自身も様々な機能を「発見」しながら解説するという状態です…(^^;)
「フォト」を使って、スライドショーを作成!
前回の「編集基礎1」では、私は(こんな機能は不要)と思っていた「3D効果」の機能を、受講者の方々がそれぞれ工夫しながら効果的に活用されていて、(すごい!!!)と感激しました。無料の簡易なソフトでも、使う人の工夫次第できっと面白い作品ができそうと期待しています(^^)
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撮影は、技術的には最低限「録画ボタンを押す」だけですが、編集となるとそうはいきません。どれだけ簡易なソフトを使っても、最低限、覚えなければならないパソコン操作というのが、人によってはかなりのハードルになってしまいます。
授業中に、説明を聞きながら・画面を見ながらノートを取るのは大変ですし、苦労して書いたノートをあとで見てもさっぱり…ということも少なくないです。
この点を解消するため、今回から、パソコン画面を動画キャプチャする方法を採用しました。ゲームの実況中継などで使われるソフト(無料)を使い、私の解説音声も入れながら、編集手順を動画で説明するというものです。
これを、授業とは別に収録し、YouTubeの限定公開でアップして、受講者の方がたは、授業のあと最低半年ほどは見られる状態にしました。
解説動画が実際どの程度便利なのか、活用されるのかはまだ分かりませんが、今後のフィードバックを待ちたいと思います。
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ところで、この講座では、講座の最終回までに3分間程度の映像を完成させ、上映することを目標にしています。課題作品の取材先として、今回は、居酒屋&フリースペースの「かけこみ亭」と、女性困窮者支援の「Jikka」を取材させていただくことになりました。この2つのどちらにも参加できない人は、「シビル」そのものを取材します。(ちなみに「Jikka」を取材させていただきたいと思ったきっかけは、シビルのニュースレターで見かけた、Jikkaの呼び掛け文でした)。
以前、別のところで開催したワークショップでは、参加者が各自、自分で取材先を決め、企画を立てて作品を作る形式だったのですが、講座期間中には到底終わらないような壮大すぎる企画を立てたり、立派な企画書を作っても肝心な取材許可がおりなかったり…という事態が多発して、作品が完成しないで終わるという苦い経験がありました。
その時の経験を踏まえ、その後のワークショップでは、こちらがあらかじめ取材先を決め、取材の許可を頂いた中から、受講者の方々に選んでもらう形式をとっています。ちなみに、前回のシビルワークショップでは、野宿者・生活困窮者支援の「さんきゅうハウス」を取材先としました。
ちょうど先週、「シビル」の取材がありました。今回、シビルを取材する人はひとり。私も取材に立ち会いました。
カメラを三脚にセットして、シビルの代表・河野さんのインタビュー。
インタビューの冒頭、河野さんから「マスクはつけたままですか? 外しますか?」と質問があり、なんとなくの流れで、そのままマスクを着用したままインタビューが始まりました。
私は、ただの立会者ですから、現場の判断は全て撮影者が行い、インタビューの間も少し離れた場所で観ているだけです。
私はインタビューを傍観しながら、コロナ時代のドキュメンタリー撮影について考えざるを得ませんでした。
私はコロナ感染が深刻化して以降、単発イベントなどの撮影を除いて、作品制作のための取材・撮影などはしていません。現在は、5年も前に撮影した『革命前夜』の編集作業をしているだけです。
マスクで顔が半分隠れたインタビュー。
せっかくインタビューに応えてもらっているのに、その人の表情がきちんと映像に残せないというもどかしさ…
私なら、「マスクをつけたままにしますか?」と聞かれたとき、果たしてどう反応しただろう?と考えてしまいました。
アクリルパネル越しにインタビューするのは、なんだか「面会」のようだし、飛沫対策のために3メートルも離れたら、その距離感は「違和感」となって映像に記録されてしまうのではないか…?
私自身はマスクを着用して、相手(被写体)にはマスクを外してもらって、インタビュー後に私はマスクをビニールに入れて捨てる&新しいマスクに着替える…とか?
あと、取材の時間もこれからは短くなるのではないか?とも思いました。不必要に密になることは避け、取材が終わったらすぐ帰るようにする。なるべく取材は手早く終わらせる。
ドキュメンタリーから「無駄」がそぎ落とされる。
世の中は「脱ハンコ」等、効率化が騒がれていますが、ドキュメンタリーはそもそも「無駄の積み重ね」で成り立っているもの。ともに時間を過ごす中で、思いがけない発見をする。もしくは何も起こらないということを楽しむ。そのような非効率な贅沢(?)の中から映画が生まれるのに…。
実際に感染のリスクもあるので、安易にこうしたら?ということは言えませんが、これは本当に悩ましい問題です。ドキュメンタリーの取材が、コロナによってますますやりにくい世の中になったと言っても、過言ではないかもしれません。
今日はこれから、「かけこみ亭」の取材があります。こちらも、現場でどのように撮影をするかは、受講者の方々次第です(何をどのような順番で撮るかなどもすべて含めて)。
どのようなやり方を試し、採用したとしても、きっとそれは「コロナ時代のドキュメンタリー」を考えるきっかけになるでしょう。
以上、シビル「3分間映像ワークショップ」前半を終えた感想でした。
引き続き、感染対策につとめ、私自身も健康管理をきちんとし、最後まで無事、皆さんが安心して学べることを目指したいと思います!!